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zoom RSS 隈研吾氏「建築と自然との共生」

<<   作成日時 : 2006/04/18 15:45   >>

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連続してゆくことを強く意識

慶應丸の内シティキャンパスが主催する定期講演会『夕学五十講』

隈研吾氏(建築家・慶應義塾大学理工学部教授)
「建築と自然との共生」

 時代の“潮流と深層”を読み解くをコンセプトに時代を読み解くための領域として8つのクラスターを定め、それに基づきテーマ、講師を選定、大学人をはじめ企業人・文化人・ジャーナリスト等、各分野の第一線で活躍する方々を講師に招き、夕刻に開催している。

シティキャンパスの立ち上げから参画している城取一成氏(学術事業部長)が進行役を担当。自然環境や伝統的な生活様式を尊重しつつ、新しい建築の可能性に挑戦しつづけ、その建築観と作品紹介を通して、環境との関わり、建築のあり方を考える。「負ける建築」は、環境を優先し、場所を優先する建築です。場所の歴史、文化、素材を大事にする建築。日本には本来そのように場所を大事にしながら建築をつくる貴重な伝統があった。もう一度、その伝統を再生させる途を探るもの−と述べた。

 隈研吾氏は、1954年横浜生まれ。1979年東京大学建築学科大学院修了。コロンビア大学客員研究員を経て、隈研吾建築都市設計事務所主宰。自然と技術と人間との新しい関係を切り開く建築を提案している。また、「馬頭町広重美術館」(村野藤吾賞、林野庁長官賞受賞)「石の美術館」(インターナショナル・ストーン・アキテクチャー・アワード受賞)。また、2002年フィンランドよりスピリット・オブ・ネーチャー - 国際木の建築賞などを受賞している。著書に「反オブジェクト」(筑摩書房)「新・建築入門」(ちくま新書)「建築的欲望の終焉」(新曜社) 等。
 講演では、丸の内、六本木にも自然はある、場所の個性を出すこと。建築とは「ラブレター」です。と開口一番述べ、建築と周辺環境とが調和し、連続してゆくことを強く意識し、景観だけではなく、土地の文化やコンテキストにまで配慮しながら、形態や素材を選択するように心がけています。また、木漏れ日や、さわやかな風や、せせらぎの音を、積極的に建築の内部へ取り込み、部屋の中からでも、五感を通じて自然を感じることのできる、開放的なやすらぎの空間を提案します。と語る。さらに建築とはその場所(土地)と対話することなのです。たとえ会話すべき内容が同じであっても、相手が変われば会話の構成・言い方・表情が変わるように、建築も、その場所(土地)によって変わる。従って最初に相手(土地)の歴史・背景・特徴を把握することが建築の出発点になる。と話す。続いて、建築思想を象徴する代表的な二つの建築を紹介。ひとつは、愛媛の亀老山展望台(きろうさんてんぼうだい)。展望台は瀬戸内海中央部、芸予諸島最南端の大島(吉海町)にあり、本四連絡ルートの一つである尾道〜今治ルート上に位置。展望台は南北2つのデッキ以外はほとんどが地中に埋設された世界にもまれな展望台。唯一地上に顔を出したデッキからは日本3大潮流のうちの一つの来島海峡や西日本最高峰の石鎚山など、雄大な風景をのぞむことができる。隈氏は、自然の丘陵をそのまま活用し、丘を崩すのではなく、スリットのように穴を掘り下げて、その穴の中にコンクリートの建物を踏めこんだものです。丘の木々が生長するに従い、建物が樹木の緑に覆い隠される仕掛けになっています。山の頂上まで上ってきた人は、一旦スリットの中に入ることになるが、その空間に身を置くことで、そこから階段を上がり、開けてくる瀬戸内海の風景がより一層印象を残すという効果を生み出している。と語る。もうひとつは、岩手の北上川運河交流館。こちらは雄大な北上川護岸の土手を刳り貫くようにトンネルを掘り、その中に博物館を設えている。いずれもコンセプトは“見えない建築”。ここでも隈氏は、目にみえるオブジェとしての建築が20世紀初等までのインターナショナルアーキテクチャーだとすれば、丘や川といった自然環境を活かして、人の手が加わっていることさえも隠すかのように設計され、それでいて自然のよさを十二分に引き出す補助線のような存在が、これからの建築の本質だと主張する。
 更に、隈氏の発想は、部屋の周囲に縁側のように水の回廊をめぐらした「水の縁側」や、あらゆる建築資材に和紙を用いた「和紙の家」、そして「石の蔵」、竹、杉、はては形状記憶合金など、さまざまなマテリアルを使ったユニークな建築を次々と制作している。そのいずれにも自然や伝統文化への畏敬の念と、その良さを引き出すのが自分の仕事だという。また、自然との一体感を重視する建築の原型を、安藤広重の浮世絵に見出すことができると語り、遠近法を用いない多層空間を生み出し、雨を線で描くなど透明なものが重なり合って、ハーモニーとなっている。ゴッホも尊敬しており、ライトも評価し惚れ込んでいた。と話す。また、アイリーン・グレイの作品に触れ、、現代でも彼女の作品が多くの人々から高い人気を得ているのは、時代を先駆したもの。と話す。1878年にアイルランドの芸術一家に生まれ1898年からロンドンのスレード美術学院で学び、家具デザイナー、インテリアデザイナーとして多くの仕事をし、1926年から建築家としての活動もはじめ、1937年にパリの博覧会でル・コルビジェの「新時代館」にいくつかの作品を展示している。更にブルーノ・タウトにもおよび、建築界における"知の巨人"ともいえるタウトは、建築の完全なる美を追い求め、ナチス政権から亡命、日本文化に巡り会い、桂離宮を訪れた時に、それは実に涙ぐましいまで美しいと言ったとされ、竹などの日本の伝統的な素材と技法を活かし独創性に富んだ工芸作品を発表、熱海・日向別邸の折り戸は、当時としては珍しいものだったが、当時はタウトを評価しなかったようです。と語る。
 最後に、建築デザインは新しい時代を迎えつつあります。高度成長期の「勝つ建築」から、成熟期の「負ける建築」へと移行しつつあります。「負ける建築」は、環境を優先し、場所を優先する建築です。場所の歴史、文化、素材を大事にする建築です。日本には、本来そのように場所を大事にしながら建築をつくる貴重な伝統がありました。もう一度、その伝統を再生させる途を探りたいと思います。と語った。
 質疑応答では、最も感動した建築物はの問いに対して、フランク・ロイド・ライトが1936年に実業家カウフマンの為に設計したものです。現地リサーチの際、施主が「滝の上でくつろぎたい」と言ったことから滝の上にリビングを建設したもので、建築史上に残る20世紀の名作建築ですね。また、世界的に有名なイェール大学のバイネキ稀覯書館は美しいですね。と答えた。続いて、近く家を建てたいのですが、アドバイスをお願いします。の問いに対して、自分で紙でも良いですから簡単な模型を作って下さい。斜めから、横から、上から見ながら、いじりながら考えると、イメージが湧いてきます。そう、感情移入ですね。と答えている。

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建築的欲望の終焉
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ロドリゲスインテリーン
2009/12/29 00:21

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